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ガソリンの価格・・・大手元売り4月大合併は何を起こすのか ①

2017.04.09

ガソリンの流通について公正取引委員会の指導に関する記事が、過去に日経新聞一面に載りました。業界では大変話題になりました。

 

公正取引委員会が、卸価格不公平の改善に乗り出したという記事です。

 

<石油業界の不透明な仕組みについて> 石油を精製し卸す元売りから末端の各販売店までどのように流通され、どのように価格差が生まれるのかは一般的には不透明です。そして2017年4月、大手元売りがどのような理由で合併に迫られたのか、そういうことも含め現地点で今後の流通と価格についての見通しを、出来るだけ正確に記述してみたいと思います。

※なお、随時加筆・修正をする旨をあらかじめご了解頂きたい。また、この文章は当方の私見で有り、著作権は当方にあります。無断転載はお断りしています。

 

 

下の図は、2017年3月段階の大手元売を表した挿絵。4月以降続々と合併していくようです。

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図-1 大手元売り2017/3現在

 

 

 

次の図は、真ん中のルートが正規系列を表しています。右が商社系(商社・全農)のルート。左が元売り直営のルート。

ガソリン流通について

図-2 石油(ガソリン)の流通について

 

 

 

 

<公正取引委員会の記事>

下記は、石油流通に関する公正取引委員会の記事。http://www.kakimi.co.jp/2013-07.htm

 

 

 

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2013年6月28日金曜 日経1面記事

給油所 安値の調達容認 仕入れ制限 元売りに是正要求へ 公取委

公正取引委員会はJX日鉱日石エネルギーなど石油元売り8社に対して、系列販売店が商社などから安いガソリンを仕入れることを認めるように求める方針だ。
元売りが系列販売店に正規ルート以外のガソリン購入を禁じている取引慣行が独占禁止法に抵触すると判断した。公取は7月にガソリン販売の実態を調査した報告書を公表する。
この中で、元売り各社に是正を促す。法的強制力はないものの、是正されなければ行政処分も視野に審査を検討する。

ガソリンは大きく分けて2つのルートで消費者の元に届く。
1つは元売り各社が系列販売店を通じて販売する正規ルートで、流通量の8割強を占める。もう1つは、正規ルートで販売しきれない余剰品を商社などに卸し、独立系で販売するルート。商社経由で販売されるガソリンは「業転玉(業者間転売玉)」と呼ばれ、公取の調査では正規ルートに比べて1リットル当たり
平均3.8安いという。

公取が問題視しているのは、元売りが系列販売店に対し、正規ルート以外からガソリンを仕入れを禁じている取引慣行だ。安いガソリンの購入を禁じられた系列店が独立系に対して、不利な競争条件を強いられているのを不適切と判断した。

余剰生産品の流通が始まったのは約30年前にさかのぼる。元売りは
「系列店は元売りのブランドを使用しているため、正規ルート以外からの仕入れは契約違反」としてきた。しかし、元売りも最近は自社製品以外を混ぜ合わせてガソリンを販売している。このため公取は「元売りが優越的な立場を利用している」と指摘。取引慣行の是正を求める。公取の判断の背景にはガソリン小売業界の疲弊がある。
全国石油商業組合連合会によると、需要減によりガソリンスタンドの数は過去10年で
26%減った一方、安値品の流通割合は20%から26%に上昇した。

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【解 説】

<ガソリンの販売価格の推移>下の図は、安定した東京都の小売価格の場合で、全国平均にも近い価格です。激戦区ではこのような価格からはほど遠い状況です。

ガソリン価格の推移

 

 

<価格差> この日経新聞記事発表の頃、激戦区では3.8円の差どころではありませんでした。津市圏内では系列の販売店と安売り店との開きが10円以上の開きがあったと記憶する方も多いはずです。特約店のマージンを含んでいるとは言え、とにかく異常な価格差が長い期間続いていました。当時、当社としてもその現状を打開する方法を模索していましたが、残念ながら打つ手がありませんでした。古くからのお得意様が離れるばかり。

 

情報の収集をしながら覚悟を決め手を打った時には、すぐに元売りからの「いやがらせ」(自民党石油議連が使う表現で、私には適切と思われる)を受けるはめになりました。この地点ではまだ、公取からの元売りへの指導があったとしても、法的根拠がないため元売りは依然威圧的に対処し続けて来たのです。地方の販売店が、公取の動きなど知るわけも無いと高をくくっていたのかも知れません。そのような横暴といえる対応を、創業以来初めて当社も経験させたいただいたのです。

 

 

新聞記事にある「安いガソリンを仕入れることを認めるように求める方針」とは、現在流通する商社系製品(業転玉)はほとんどが大手元売りの余剰品であるため、調査結果からも品質不良品は1/1000にすぎませんでした。同じ元売りのタンクから出荷されれば、ブランドにも品質にも法的に問題がないということになり記事の文言が出てきたのです。

 

※「ただし,業転玉といえども,商社が元売から購入し,適正に販売しているガソリンは,品質上,系列玉と変わることがない。実際,揮発油等の品質の確保等に関する法律(品確法)による規格に合致しないガソリンの流通は,一般社団法人全国石油協会が平成24年7月から9月までの間に行った試買分析では,3件にすぎなかった。」(公取HPより)

 

 

 

元売りの利益は系列から確保しておいて、元売りが見誤って生産しすぎた油を、市場がいかに混乱しようともかまわずに、商社に安く放出しました。その結果商圏内で信じられないような価格表記が出始め、系列販売店もその価格に近づけなければならなくなったと言うわけです。

 

 

地方のガソリンスタンドも経営が苦しくなり、閉店の煽りを受けています。そうなれば、一層過疎化が進む地方も出てきます。公取の動きも、こういった現状を放置できない段階に来たと考え始めたからなのでしょう。

 

 

つづく