NHKのオンデマンド 原発・危機の88時間
2月になりようやく体調がもどってきました!
12月と1月にタミフルを2度飲んだわけで、その影響かなにか分かりませんがとてもつらかったです。
休んでいる間、NHKのオンデマンドを見ていました。
東日本大震災を取り扱った番組をいくつか。中でも地震発生後の福島第一原発での88時間を取材検証したドキュメンタリーは秀逸で、あの悲惨な光景が蘇ってきました。
NHKスペシャル「原発メルトダウン 危機の88時間」(2016年放送)
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2016068336SA000/
関係者の発言をあげてみましょう。
○元運転員の井戸川さんは名前と顔を出し、電源が喪失して真っ暗な中央制御室(1号機・2号機に一番近い)で出来ることが何も無かったと後悔している。震災一年後、彼は責任を感じ退職した。
○免震重要等にいたある東電幹部(技術班)は、2号機への注水が出来なかった場合に備え、通常の方法を採らずにベントを優先すべきと発案した。しかし、官邸に詰めていた内閣府原子力安全委員会委員長の斑目氏と東京電力社長が、強引に通常の方法をSR弁を開けることを推し進めた。結果は、危惧したとおり注水が出来なくなっており、最悪の事態が早まってしまった。
※仕方のない面もあった。情報が速やかに届かない状況に、官邸内は苛立っていたのだ。意図的に情報が送られて来ないとさえ思えたのだ。
全てに不備があった。危機対応のシステムそのものに不備があり、あり得ないほどの情報量と、あり得ないほどの事態への判断が、休み無く吉田所長一人にのしかかっていた。不可能だった。
格納容器が水蒸気の圧力で爆発すれば、放射能が飛び散り総ての作業者は退避することになる。例えば24シーベルトの放射能を浴びれば、人は15分で死に至るからだ。その結果、南に位置する福島第二原発のメルトダウンさへ呼び起こし、あわや東京から新潟、秋田、岩手など「東北一帯に人が入れない」「日本がおかしくさえなる」状況にあったのだ。
その時、想定外にも格納容器の上部接続部が圧力によって隙間が開き、格納容器内の圧力はゼロになり最悪の事態は免れた。
○吉田所長は、2号機の爆発を想定していた。作業員の中で、いったい何人が自分と一緒に死んでくれるかと顔を思い浮かべた。2号機の格納容器が運良く圧が下がった時、彼は神を感じたし、神仏に祈るしか無かったことを述懐している。吉田所長は、その後9ヶ月間現場に居続けた。
科学の粋を集め、安全神話に塗り固められた原子力発電所は、一度人間の想定を超えてしまったとき、神仏に祈るよりなすすべが無かったのです。当時福島第一原発にいた関係者達は、そのことを身をもって知らされたはずです。
その後検証は進んで、新しい事故対応が構築されているようですが、何回事故を経験すれば完璧なものになるのでしょう。
当時原発で何が起きてこうなったのか、また奇跡としか言いようのない出来事も、じつはまだ誰も検証できてはいません。未だに近づく事さえ出来ないからです。
原因を特定することも出来てないのに、より厳しい安全基準とは何なのでしょう。