西尾幹二氏について
文春オンラインで西尾幹二氏のインタビュー記事が掲載されています。
http://bunshun.jp/articles/-/10473
新しい歴史教科書をつくる会結成当時から、私は氏を興味深く見てきました。
シンポジウムにもほとんど参加しましたし、参加できなかった分はビデオを観ていました。
ニーチェの研究家である氏の哲学的な語り口には、発見することも多く深く感銘を受けたものです。
著書の「国民の歴史」、世界史から見た日本の歴史は、当時の私にとってとても新鮮でありました。
その後の雅子妃へのバッシングや廃太子論に対してはことごとく反発を持ちましたが、ほかの件では共感を持ってきました。
氏が中心になって広めたつくる会の運動と、会の理事に加わった小林よしのり氏の「戦争論」が、現在の風潮を創ったと言えると思います。
徴用工問題についてすべての新聞社が、日本側の正当性を伝えています。あの毎日新聞や朝日新聞までです。
昔ではありえなかったことでしょう。
しかし肉体の衰えは、容赦なく人を襲うものです。
三島由紀夫氏が彼の著作に送った言葉を紹介しましょう。
「西尾幹二氏は、西洋と日本との間に永遠にあこがれを以て漂泊する古い型の日本知識人を脱却して、西洋の魂を、その深みから、その泥沼から、その血みどろの闇から、つかみ出すことに毫も躊躇しない、新らしい日本人の代表である。西洋を知る、とはどういふことか、それこそは日本を知る捷径ではないか、・・・・・・それは明治以来の日本知識人の問題意識の類型だったが、今こそ氏は「知る」といふ人間の機能の最深奥に疑惑の錘を垂らすことも怖れない勇気を以て、西洋へ乗り込んだのだった。これは精神の新鮮な冒険の書であり、日本人によってはじめて正当に書かれた「ペルシア人の手紙」なのである」(『ヨーロッパ像の転換』推薦の辞より)