勝手な「忖度」などでは無かった・・・典範改正派
現在発売されている小学館サピオ4月号の「ゴーマニズム宣言」(小林よしのり著)によると、女性天皇(自民党小泉内閣時)・女性の宮家創設(民主党野田内閣時)や今回の生前退位の典範改正について、すでに著者である小林氏が、宮内庁長官や宮内庁審議官と直に会って陛下の御意志である旨を内々に確認していた、とあかした。
筆者注:かつて「天皇論」を発行した小林氏は、その当時天皇主催のお茶会に呼ばれることになった。私としてはうすうす気づいていたが、「天皇論」の内容に対する評価として、陛下が直接に小林氏を招待されていたのである。その事は同時に、大御心に逆らう自称保守達に対して、明らかな意思表示をされたのである。
その模様は、「天皇論 平成29年」に詳しい。
ネトウヨや自称保守が喜びそうな表紙!?
男系自称保守派から特に竹田恒泰などに「勝手に忖度(そんたく)するな!」「詔勅を発せられたか?」などと攻撃されることも多々あったが、決して間違った「忖度」などでは無く、明らかに陛下の御意志と一致していたのだ。
そのことは同時に、当然陛下の御意志を受け取りながら、安倍内閣が意図的にないがしろにしてきた事が証明されたと言ってよく、陛下のお立場からすれば現政権は完全に逆賊政権なのである。
また、陛下にとって竹田恒泰や日本会議などは、逆賊以外の何者でも無く、小林氏のように陛下からの本意を伝えられることは一切無かったし、お茶会に呼ばれることも無かったのだ。無視されて当然の人達なのだ。
以下今回のゴーマニズム宣言の要旨を紹介しよう。是非ご購入を!
①天皇の退位問題を最も理解しているのは、民進党
平成28年12月21日に、生前退位のための「論点整理」を発表した。今年1月23日に発表された政府の有識者会議のそれは、民進党のものに及びもつかない低レベルの出来だった。民主党当時の野田氏には、総理を辞めた時に、天皇皇后両陛下から労をねぎらう感動的なエピソードがあるようだ。
②細野豪志氏の国会予算委員会での質問はすごい内容だった
●安倍総理から「有識者会議の論点整理は参考にとどまる。」の発言。以下、安倍総理からの答弁。
●旧宮家系の国民男子が皇籍取得することについて、「首相就任以前に 一つの選択肢としてあり得るのでは無いかと考えていた。」と過去形の答弁を引き出した。
●旧宮家系の男系男子の「対象者すべてから拒否されることもあり得る。」の発言。
●「皇室典範の改正はあり得る。」
③その他の野党も典範改正に協力的である
④「生前退位」は、法学用語
憲法の天皇は「国政に関する権能を有しない」という条文は、国事行為を拒否したり、天皇が党派政治に巻き込まれたりするような事態のこと。天皇の出処進退に関する譲位は、「国政に関する権能」には当たらないと言うのが憲法学会の通説。(筆者注:生前退位はおかしな言葉と知ったかぶりして批判していたのは、一度も皇族であったことのない一般国民の竹田恒泰氏。)
「国事行為」には、内閣の「助言と承認」が必要。「公的行為」は内閣の「同意と責任」で行われるもの。8月8日のお言葉も、「公的行為」であり内閣の「同意と責任」で行われ、決して違憲行為では無い。
基本的人権のほとんどを制限された天皇が、自分の出処進退に関する表明まで禁じられたら、もはや奴隷になる。
⑤八木秀次氏との対談について、氏の論理は破綻していた
筆者注①:初めて神武天皇のY系遺伝子を持ち出したのがこの人。日本会議などの男系自称保守の拠り所となり、安倍総理に近い罪深い逆賊の学者の1人である。600年以上さかのぼって男系を迎えようとしている。安倍総理の答弁によると、候補者全てに断られそうな気配である。
もっとも遺伝子でさかのぼれば、当然神話に繋がることはない。
筆者注②:ちなみに、源氏・平氏の時代からずっと、世継ぎから外れた天皇の子供達は、次々に外縁の武家や寺社に降下され、それなりの待遇を受けていた。よって日本中の男子には、神武天皇のY遺伝子が広く拡散されていると考えるのが普通。また、男系を維持するには、側室制度が不可欠だ。ヨーロッパを視察された昭和天皇が、側室制度廃止の御聖断に踏み切られたのは、先進国から日本は劣った国だと思われたくなかったからだと推察する。今さら側室制度を戻せるわけもない。
⑥ご学友明石元紹氏の「文藝春秋」2月号の寄稿文
陛下からの電話では、「この問題は、僕の時だけでは無くて、将来を含めて譲位が出来るようにしてほしい」
筆者注:一代限りの特例法など、断じて許していらっしゃらない御意志。
⑦皇室典範の改正には「時間がかかるから特例法で」と言うのは、真っ赤な嘘!
高森明勅氏がすでに皇室典範改正案を作成しておられる。(pdf)
筆者注:安保法制の強行採決をしたのはどの政党か?
⑧政府の「退位の制度化」が困難は、嘘!
譲位を恣意的に出来ない、あるいは強制的になされないようにするためには、3要件を整えれば良い。民進党も提案。
●天皇ご自身の意思に基づくこと
●皇位を受け継ぐ方(皇嗣(こうし))が成人に達していること
●皇室会議の議によること
特例法で退位させる前例を作ると、天皇の意思を無視して、権力が強制的に退位させる前例を作ってしまう。天皇の恣意的な退位も、権力の強制的な退位も、両方防げるのが上の3要件。憲法二条に違反する特例法はもってのほか。
陛下は、疲れたから退位したいと仰ったのではない。皇太子に次の公務を託したのだ。
「一代限り」の譲位は、(筆者注:天皇の歴史上例外扱いとなり、次の天皇も憲法に拠らない例外の天皇として即位することになる。)陛下への侮辱である。