ガソリン卸業界の状況について
ガソリン価格について書いてきたことです。
業界新聞をご紹介しましょう。津市内のガソリン価格表記は、本来の企業収益を反映していない状況は変わりありませんが、業転業界が大きく変化したことは事実です。
今年度が石油業界の将来を決める分岐点となったのは間違いない。直近値で系列仕切りと業転価格の差はガソリンで2円、過去半年間でも3円差を超えた時期はほとんどなかった。元売が主張した「ブランド料3円」という仕切り構成が現実となり、系列仕入れと業転玉の価格差は確実に縮小し、業転を扱う卸、商社も系列取引で仕入れることとなった。
不思議なのは、そもそも業転玉は「余剰玉」を指していたのではないかという点。高度化法で実質的に精製能力は削減され、石油製品が余るという状況が改善されてきたのは事実だろう。それでも1年前、ある商社の責任者は「業転はなくならない」と断言していた。「彼ら(元売)はメーカー。生産性に固執し、稼働率第一主義なのは持って生まれた本能」と言っていた。30年以上にわたり元売と交渉を続け、いかに安く仕入れるかに賭けてきた責任者の言葉は真実味があった。
しかし現実は明らかに需給均衡の永続性へ舵を切り、元売はメーカーであるのと同時に営利企業なのだと思い知らされる。元売各社が先ごろ発表した決算状況を見れば一目瞭然、系列仕切りと業転の差が縮小して以降、安定して収益を上げているのだ。商社も予測できなかった最も重要な「儲け」が、需給均衡の根底を支えていると言っても過言ではない。元売決算書からは「減販しても儲かっている」という構造が明確に見てとれる。これまで余剰玉を売ってきた卸、商社に系列玉として売ることでさらに収益力は向上し、営利企業としての正道を歩んでいる。
「業転を出すな」と言い続けた販売業界。それを実現してこなかった元売という構図が、わずかの期間で転換した瞬間。それを目の当たりにしているのがいまなのだろう。長年、業転玉に苦しみ、その放出を元売に止めるよう求めてきた石油販売業者が「この状況は一過性のもの」と懐疑的になるのはわかる。だが、業転を扱う側はすでに状況を受け入れているのも事実だ。前述した責任者と最近会う機会があり、改めて業転市場がどうなるかを聞いたところ「元売に負けた。というよりいままで勝った試しがない」と応じ、「もう石油では儲からない。新たな道を探さなければ」と答えた。業転を巡る立場の違いで一喜一憂した今年度。目前に迫った新年度は、SSの収益性が劇的に変わる番なのだろう。