ガソリンの価格・・・大手元売り4月大合併は何を起こすのか ②
<上場企業平均年収>
ここに2017年1月現在での上場企業の年収を公表した経済情報誌から、一部ご紹介しましょう。
※なお、この文章には経済上の言葉として、上流(上層)・中流(中層)・下流(下層)を使用しています。世界のグローバリズム、国内の自由化の加速を推進した結果、「中流の大幅な減少」が起き、少子化問題・不景気問題の本質として考えています。
当社の卸元でもある大手元売りJX日鉱ホールディング(合併後はJXTGホールディングス)の平均年収は平均1,100万円。出光は800万円と発表されました。
では最前線の販売店はどうでしょうか。
問い合わせなどによると、特約店を含み販売店に従事する者は、通常非正規社員がほとんどで、非正規(男)の年収は250万円前後です。販売店を数社抱えるオーナーにおいても、副業(車検・中古販売など)によって自分の年収を補っているのがここ数十年来の実態なのです。
このような実態に基づいてなのか、経済産業省から「カルテル」を行えというような指導がなされたと伝え聞きました(伝聞)。もしそれが正しければ、違法ではないカルテルも世の中にある事になり、それほどこの業界が疲弊して切っている事を物語っている事になります。
以上の事から、元売りの利益の中に含まれる社員の高額な年収分は、系列特約店・販売店の犠牲の上に維持されていると言って良いでしょう。高いプライド(自分たちは特別な人間と思っている)を持ってきた彼らですが、プロフェッショナルとして失格の評価を受ける程の需要を見誤った余剰在庫を、悪びれる事もなく商社系に長年安易に放出してきたのですから、一企業と言えどあまりにも無責任ではないでしょうか。
中層が消えた上層と下層の構図は、早くから自由化が推進された業界がたどり着いた結果かも知れません。
<上流権益とは>
この大手元売りの立場を「上流権益」と言います。
また、彼ら元売りの立場には法的にも強みが有り、ブランド使用の契約違反、品質確保法(品確法)の免除剥奪(免除の剥奪が行われば、販売店の負担は増える事になります)の二つを持って、特約店や販売店に対し強い口調で脅すことが出来るのです。市場を混乱させている張本人の側は、法的にも優位に立ち、言うまでもなく利益も優位に維持されているのです。
いったいどこからその傲慢な思いや行動が出てくるのでしょう。おそらく彼らには上流意識があり、最前線である系列の販売店を見下していて、自分たちとは違う下層だからと認識して疑いもしていないのでしょう。
<原 因>
系列と業者間転売の価格差が激化した根本的な理由は、一つには販売量の減少が挙げられます。政府が環境性能の高い車に補助金を出してまで普及に努めた結果、ハイブリッド車等が普及し続けています。そのために単位消費量が減り始めました。他に考えられる原因は、人口減、若い世代の自動車離れ、高齢化による運転困難などが挙げられます。また、数年続く不景気感が、背景にあると思われます。元売りは減産しましたがそれ以上に需要が減少しているということが続いているのです。
<利益が必要のない新しい業態の出現>
また、近年はこういうことも起きています。郊外の大型量販店の敷地では、客寄せの為に安売りするノーブランドのガソリンスタンドが出てきました。宣伝広告費の一環としてしか考えられない、ほぼ採算性は考えなくてよい特殊な販売店が出てきたのです。
<直 販 店>
また、元売りの性格上、出荷量を維持するため元売りによる直販店が多くなってきたことが挙げられます。もちろん市場最安値で。ただし実際の最前線の営業は、下請け会社に委託し、自分たちとは違う下層の人たちに仕事をさせています。
<外国の事情>
アメリカでは、元売りの直接販売を法律で禁止しています。業者間転売の価格差も1~2円程度ですから、日本のように市場を混乱させることはまず無いでしょう。
<当社とある大手元売り関係者とのやりとり>
公取の記事以来、情報収集したうえ、管轄の支店へ電話し聞いてみたことがあります。話の内容はすぐに特約店の社長に報告しました。A社長は、笑いながら「どう返事してきました?」と聞いてくれました。
私:公取が示したようにお宅(元売り)から商社系の安い商品を入れたいのですが、どうしたら良いでしょうか。(普通こんな問い合わせはしないでしょう。馬鹿を装って!? こんな電話をしてます)
E:営業トークの雰囲気が一転し、間を置いて、「そ、そんなことをしたら契約違反になりますよ。」「どこもそんな事はしてませんよ」
私:お宅も業転へ流している事はみんな知ってます。 なぜそのような子供だましのようなことを言って誤魔化そうとするんですか?
E:「・・・・・ ローリー買いとか色々な方法があるのはあります。そうすれば安くなります。」
私:ところで、当社近隣の超安売りしているJ○SSに卸してるのはどこなんでしょうね? まいっているんですが、ご存じありませんか?
E:「・・・・・・・・・・」(馬鹿を装って!?しっかり調べて聞いてます。現在この元売りが卸してる事は99%間違いありません。当初、関係者は韓国製と言ってましたが。)
私:特にこの業転玉の件を何とかしないと当社も会社を維持できませんよ!
中 略
E:「このやり取りは、特約店さんに報告しておきますから」と強いめの語気。
私:どうぞ。私の方からも報告する予定でいますから。
このようなやり取りをしました。そしてA社長に一部始終をお話したわけです。
変わらない業界。大手元売りは少しも改善しようとはしません。
市場も、豊富な業転玉で過当競争し続けます。
年金も実質減り、非正規の雇用ばかりが増えて、この数年世間の景気が良かった事はない。
一円でも安いガソリンスタンドがあれば、戻ってきてまで満タン給油する不景気な時代。
<ついに変革の時が>
しかし今度こそは、公取が本気を出したようで、次々に特約店・販売店を守る具体策を打って、法的にも品質的にも元売りの一方的な優位をなくしてきました。
それで、今回のような業界の合併話が加速したと、私は思っています。
今年3月初旬、大手元売りから商社系列に対して、今後業転玉の供給量が50%になると通告をしてきました。
商社系列、ノーブランド店、全農店側に、供給不足が懸念され始めました。
つづく