「国債発行」とは何か ・・・ 初心者の経済学
日銀の仕事の中で「通貨発行」がありますが、新規国債発行が通貨発行であることをテレビで聞いたことがありませんし、積極財政を訴える書物にでさえ見たことがありません。
しかし、少し前から言葉に出し始める経済の専門家が出てきています。
おそらくタブーだったのでしょう。
いよいよ「国債」についてお話ししましょう。
「国の借金1,200兆円 一人当たり900万円」というフレーズは、NHKを始め朝日放送などの民放各社の報道や、経済な専門とうたわれる日本経済新聞を筆頭に大手新聞各社で繰り返されるキーワードとして、すっかり国民に浸透してしまっています。
また、バラエティー番組のニュース解説(池上彰氏など)においても、単純化したキーワードが繰り返されています。
「借りたものは返さなければなりませんね」「次の世代に負の財産を残してはいけません」などの決まり文句で締めくくられ、「借金」という言葉に罪の意識を抱かせるよう国民を洗脳しています。
さてこの国の借金について、正しい表現でしょうか?
(商売人の倅はせっかちなので、)
また、先に結論を申し上げてまいりましょう。
これは、不正確であり間違いです。
新たなオレオレ詐欺と言っても差し支えないでしょう。
まずは、この1,200兆円。この1,200兆円には資産が考慮されていないので、政府と日銀の資産を合わせると負債の額はおよそ半分の600兆円ほどになります。財務省はわざと大きな数字を拡散しています。いったいどういう意図があるのでしょうか。
国の借金は、政府の負債が正確です。その負債である政府支出によって、国民の資産が増えます。つまり、「政府の負債=国民の資産」になります。
では政府の負債とは何でしょうか?
政府は、新規国債発行を通じて、金融機関等(一般人は直接購入することが出来ません)による国債購入を経て、資金を得ます。
その資金で政府支出
そして、最終的に日銀が償還という形で金融機関等に対して返済が行われます。
その時お金を印刷することは殆どありません。
金融機関が日銀に持っている日銀当座預金と言う通帳に、返済分と利息分を記入(万年筆マネーともキーストロークマネーと呼ばれます)して償還が完了するのです。
万年筆マネー
キー・ストローク・マネー
日銀当座預金
日本の場合(アメリカやイギリスなどの先進国の場合は)、新規国債発行とは政府貨幣発行(新規通貨発行)のことなのです。
発展途上国の場合自国の通貨に信用が無いので、外貨で国債を発行します。この場合通貨発行出来ないため、債務不履行(デフォルト)を起こしやすくなります。
新規国債発行=政府貨幣発行
これが今現在の貨幣発行の真実なのです。今後新しい貨幣制度が出来るかもしれませんが・・・その時はその時に考えましょう。
では最初から見て行きましょう。
政府が国債を発行し、金融機関や、保険会社、年金機構などが購入することが出来ます。個人が購入する場合は、その金融機関などから購入します。
例えば銀行が政府発行の国債に対して金額と期間や金利の条件を出し入札します。
入札の条件を政府が認めれば取引が成立します。
日本国債の見本
下の図では、政府が発行した1千億円分の「国債」がお金と引き換えに銀行に渡ります。
約束の期日に必ず償還される、日本で一番信用のある約束手形のようなものです。
市中銀行が日銀の中で持っている「日銀当座預金」(一般の当座預金と機能は同じ)の中で、使用できる分だけが国債の購入に使われます。
①で出来たお金を使って、政府は公共工事などで政府支出を行います。
工事が完了すると、
②で政府は、「政府小切手」を企業に払います。(次の図のように、政府から直接市中銀行に支払い指示が行われる場合が多い)
③ 企業はその政府小切手を市中銀行に持っていきます。
④ 市中銀行は、日銀に出して日銀当座預金に記帳されます。
③ 企業の通帳に記載され、
⑤ 関係業者への支払いや、従業員へ給料が支払われます。公共工事の場合、国民に配ると言う感覚になります。
つまり、①の新規国債発行は、最終、企業と⑤の従業員へ分配されます。
政府の負債が、国民の資産になるのです。
★「新規国債発行」は、GDPに直接影響を与えます。
国債でも「繰り替え債」は、GDPに何ら影響を与えません。財務省による姑息な呼び名の国債です。短期国債(1年物など)を発行した支払い分を埋めるためだけの新たな国債発行のことで、GDPが増えるわけではありません。
⑦国債買取 この場合、日銀は市中銀行などが持つ国債と引き換えに、日銀当座預金に元金と利息分を記入することで償還を完了します。新規国債発行はたいてい10年物が主流です。
信用創造の所をご参考ください。
財務省のHPに記載されているように、自国通貨建ての国債発行は日銀が無限(!?)にお金を発行して買取できるため、返済不履行(デフォルト)は起きないのです。もちろん、経済の成長率を考慮した上での話です。(成長率2%~4%くらいと言われています)
アメリカドルで国債を発行した場合アメリカドルでしか買取できません。アメリカドルを発行出来ないので返済不履行が起きやすくなります。
ロシアもアルゼンチンもアメリカドルで、ギリシャはユーロで国債を発行していたため返済不履行を起こしました。
間違った情報に、騙されないようにしましょう!
国債を買い取るその時、日銀はいくらの元手が必要になったでしょうか?
ご覧いただいてきたように無から貨幣を創ったのですから、元手は必要ありません。
もし日銀が紙幣を印刷して償還しようとしたら、1枚につき19円の元手がかかるだけで、新規国債発行した一部を支払いに回すだけで容易に支払うことが出来ます。
政府と日銀は親会社子会社の関係ですから、その間でいちいち支払いのやり取りをする必要も無いのです。
つまり、政府による新規国債発行とは、世界一信用の高い約束手形だと思っていただければ良いのです。返済不能に陥ることは無いのです。
下の図は、明治政府が国債発行した時から2015年までの債務つまり通貨発行した残高になります。当初の、実に3740万倍になります。普通の借金ならとっくに破産してますよね!?(笑)
財務省は「返済が必要だ」と訳の分からないことを言って緊縮と増税で国民を疲弊させているのです。
会計では下の図のように政府の国債発行は記載され、借方の方に記載されるべき資産がありません。ここには本来、政府の信用、日本の供給能力、政府の意志が担保と考えられるのです。
三橋貴明氏作成
これが信用貨幣の世界です。
MMTは、真実を積み上げて出来たシステムです。
財務省のHPにはMMTのことが記載されていますから、財務省がどんなに批判していても本当はMMTを理解していると思ってよいでしょう。
信用貨幣を理解していただいた上で、今度はマイナスの側面に目を向けなければなりません。
貨幣発行の権限が任されている中央銀行制度についてです。
世界中の中央銀行が民間であることについてです。