貯湯式給湯器 取り換え時のヘドロ そして飲めない給湯器・・・・・【お湯回りの専門家がどうしても伝えたいこと】
<缶底に溜まったヘドロ>
こんなに汚れていても、上澄みなら上水道として使えるのでしょうか? ヘドロの上澄みのお湯は、上水道と同じ蛇口(混合水栓)から出てくるので、ご家庭では飲用や調理用に誤使用されているのではないでしょうか。
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これは、10年以上使用した深夜電気温水器を交換する為、タンクの中の水を抜いている時に撮影した動画です。10年以上のあいだ1度も水抜きの維持管理を行わない場合、このようなヘドロが結構な時間出てきます。この動画は途中で気づいて慌てて撮ってますが、排水バルブを開けた最初と最後に出てきます。
動画後半、灯油を燃料とした貯湯式の給湯器もこのようなヘドロが見受けられますが、ヘドロの量がかなり違ってきます。貯湯缶の大きさによってヘドロの量が違ってきます。当社としては今のところエコキュートのヘドロを直接確認していません※2。
電気式はエコキュートや深夜電気温水器で、容量が約370ℓ・460ℓ・560ℓです(2018年カタログ値 以下同じ)。灯油式は10~20ℓ以下です。金属との接触による「浸出」も影響していると考えられます。
次にガスを燃料とした貯湯式の給湯器は、エネファーム、ハイブリット、エコウィル、太陽熱利用などがあげられますが、水抜きの維持管理が行われていなければここまで酷くなくても同じような現象が起きていると思われます。貯湯缶の容積は、初期型エネファームは200ℓ、最新型は28ℓ。ハイブリットは48~160ℓ。
〇ちなみに直圧式給湯器の管の容積は、灯油(Ty社家庭用:1~1.7ℓ )。ガス(R社:1ℓ)。管の中にはどこにも滞る所が無いので、水抜きの維持管理は不要で、いつでも飲用や調理用に使用できます。
“メンテナンスフリー”で、“いつでも新鮮なお湯”と言うことが出来るでしょう。
長年給湯器の取り換えを行ってきた当社にとって、この動画ようなヘドロはありふれた光景でしたが、お客様にはあえて報告していませんでした。新しく交換した時に「給湯器の維持管理はしてくださいね!」と言うことが精一杯でした。もしくは、取扱書をお渡しして「必ずお読みください」と伝えるくらいでした。
お近くに同じような工事業者があれば一度聞いてみてはどうでしょう。きっと、当社と同じような反応が返ってくると思うのですが。
貯湯式給湯器の維持管理については、製造者責任のあるメーカー側が繰り返し情報を発信するのが正しいように私には思えます。
いくら消費者の「自己責任」だとしても、このような現状を長年放置し続けている経済産業省には監督官庁としての責任があるように思えます。
<維持管理していても 飲めない貯湯式の給湯器>
貯湯式の給湯器は、電気・ガス・灯油・太陽熱利用(水道直結間接加熱方式以外)などがあり、そのほとんどが飲用できません。(H社が発売するエコキュートのナイアガラだけは、飲用できます。※後術します)
取扱説明書には、「飲用時には沸騰する必要」があるとか、「年に数回のタンク内の水抜きが必要」と書いてあります。しかし、ほとんどのご家庭にとっては維持管理への関心が薄く、沸騰させないと飲用できないことさえもご存じない場合が多いようです。
少なくとも子供たちが、飲めないお湯で顔を洗ったり、歯を磨いたり、知らずに飲んでいる光景を思い浮かべるだけで怖くなりませんか?(機器が新しい間は良いかもしれませんが。)
深夜電気温水器の一例
この写真は、深夜電気温水器を一度も水抜きの維持管理を行わなかったと思われる実際の写真です。
エコキュートの一例
貯湯式を一言で言えば、缶
★ステンレスは錆びにくい金属ですが、水道に含まれる不純物の影響により「もらい錆」が徐々に発生し増えていくようです。
電気ケトルの場合は水垢と呼ばれ、使用開始から3ヶ月ほどで汚れが酷くなります。その場合、2回ほどクエン酸を入れて沸騰させてから、内側をこすり洗いなどをします。
エコキュートや深夜電気温水器などの貯湯缶の場合は、クエン酸を入れることは一般家庭では不可能で、貯湯缶の内側をこすり洗いすることも出来ません。灯油やガスを燃料にしている貯湯式給湯器も同様です。
あなたは、数年間一度も洗わない電気ケトルで入れたお茶を飲みますか?
※日立社製のエコキュートのナイアガラという一部製品には、熱交換器によって貯湯缶のお湯から直圧式水道に熱移動させて水を温めるため、飲用や調理にも使用できます。その為なのか他社のものより熱効率は落ちるようです。ただし、浴槽に自動湯張りするお湯やたし湯は飲めません。浴槽のお湯を飲む人はいないと思いますが、飲めないお湯でお風呂に入るわけです。
日立社のカタログには、ナイアガラなら「水道直圧給湯はそのまま飲用できる」と記載されています。つまり、他社製は飲めないとハッキリ主張しているのです。
〇貯湯式給湯器以外は「直圧式給湯器」と呼ばれ、お湯を必要な時に瞬間的に作り出すので飲用や調理に使用できます。熱交換器の中を管が通り、その管の中を水が通り瞬間的にお湯になるので給湯器は小さくて済みます。缶ではなく管は、水道管の延長だと考えることが出来、給湯器の中を水道管が通っていると言えるのではないでしょうか。
ガス直圧式給湯器 エコジョーズの一例
灯油直圧式給湯器 エコフィールの一例
直圧式を一言で言えば、管
〇水道は長期間使用しない場合、管に滞留した水やお湯のカルキが抜けているので、飲用せず雑用水として使用します。ふつうは一日が始まる朝に行うことが良いでしょう。
〇※2. エコキュートでは、深夜電気温水器のようにヘドロが溜まる構造になっていないのですが、一部メーカー関係の方からの情報として、この動画そっくりのヘドロが出てきたと証言してくれた方がいました。
〇貯湯缶の汚れ方は、ご家庭の人数、年齢による使用頻度によって差が出ると思われます。
日々たくさんのお湯を使えば、新しい水が入る量も回数も増えて汚れにくくなり、少なければ汚れやすくなると思われるからです。ただし沢山お湯を使ったところで、古い水が新しい水で希釈されるだけで、古い水は水抜きをする最後まで残り続けるわけです。
また使用される水系の質によっても、汚れ方は変わると思われます。
お湯回りの専門家として、これからも情報を収集していきますが、この動画は決して不当な圧力で削除させてはならないと思います。
この動画は維持管理の啓蒙であり、広く公共の福祉を増進することを目的としています。
経済産業省へも、近く公開質問状を出す予定です。
★この動画は、拡散希望です。YouTubeのほうへ、色々なご意見や、写真・動画をご紹介ください!
自称“お湯回りの専門家”は、給水装置工事主任技術者、1級管工事施工管理技士の資格を有し、石油機器技術管理者でもあります。