奥深い古都
塩化亜鉛の治療をしてくれる病院の近くに、
現代風で4階建ての立派なお菓子屋さんがある。
店の名前も奥ゆかしく掲げてあって、あまり目立つと言うことはない。
時折見ると、小さなのれんが揺らめく。
病院の事務員さんが言うには、たいそう古く、江戸時代からあるとのこと。
どんなお菓子が有名なんですかの問いに、種類は一つだという。
どんな1種類のお菓子で、こんなお店が建つのかと入ってみる。
箱詰めされたお菓子が無造作に積んである。
「一箱800円です。」
ところで車の中がなにか匂う。
味噌だ。お味噌の匂いだ。
戻って会社で食べる。「味噌松風」と書いてある。
お味噌の香ばしく甘い香りを口中に、時空をトリップした。
御所近く歴史とともにあるその屋号が、地元の人々に根付いていることは言うまでもない。
だから奥ゆかしく、凜としている。