坂の上の雲
昨夜から、NHKスペシャルドラマ
「坂の上の雲」第3部が始まった。
私の周りにもファンが多い。
原作は司馬遼太郎。
いわゆる「司馬史観」の歴史小説である。
開国したばかりの日本が、
西洋の列強と互角に渡り合えるか、
瀬戸際の外交と戦争を題材としている。
坂の上に見える、近代が目指すという雲が、
いかようなもとは分からないまま、
その頂に理想を夢見て明治は始まった。
別の観点から見れば、
弱肉強食という当時の世界常識のもとで、
列強がアジア支配を目論んでいる中、
我が国もまた無理矢理に
戦闘のリングに引っ張り出された
といってよい。
我が国は、とにかく互角に対峙できるかという、
難問山積みの中、よくぞ互角に生き抜いて見せた。
それ以来、ヨーロッパからすれば
日本と言えば、
アジアの中で
「一度も植民地にならなかった国」として
語られるようになった。
いくつもの戦争を経験し、
そして高度経済成長を経験し、
バブルで坂の上の頂きに
一度は到達したかに見えた。
やがてバブルが崩壊し、リーマンショック、
デフレ、失業率の悪化へと至る。
一瞬にでも見えた坂の上のいただきで、
日本国民は、夢に見た理想の姿を、
その雲の中で、はたして
見いだせることが出来たのだろうか?
私には疑問が二つある。
一つは、
明治の英雄達に、
坂の上にあった雲は、
命を捨てる価値があったのかどうか。
出来るなら確かめたい。