りんご
例年秋には、林檎が届きます。
長野県の親戚に送ってもらっている林檎です。
今年も大粒で密が入った、上出来です!
毎年この季節になり、林檎のふたを開けると昔のことが思い出されます。
十九歳の時に(わたしにもあった)、島崎藤村の「若菜集」の有名な詩を諳記した事を。ハハハハ。
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まだあげ初(そ)めし前髪の
林檎(りんご)のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛(はなぐし)の
花ある君と思ひけり
やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅(うすくれない)の秋の実に
人こひ初(そ)めしはじめなり
わがこころなきためいきの
その髪の毛にかかるとき
たのしき恋の盃(さかづき)を
君が情(なさけ)に酌(く)みしかな
林檎畑の樹(こ)の下(した)に
おのづからなる細道は
誰(た)が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ
島崎藤村『若菜集』「初恋」より
『藤村詩抄』〔岩波文庫)所収
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若いときに覚えたものはなかなか忘れないものです。 ・・・・・。
途中半分までは はっきりと覚えています(キリッ)